田中重治(たなか しげはる)


 子供たちの「おいしい!」で選んだヘイワードのキウイを作って40年以上。

小田原キウイのお父さん、そして有機キウイの第一人者。

キウイ栽培を始めた理由は

今はたくさんのキウイ畑が広がっている小田原だけど、以前は一面みかん畑だったんだ。うちもみかん農家だったけど、1970年代にみかん産業が大暴落して「このままでは暮らしていけない!」とみかんに替わる農作物を探し求めて奔走してね。その時に出会ったのがキウイフルーツ。色々な品種の苗を取り寄せて、どれが美味しいか、どれが栽培に適しているか試したんだ。

 

そんな中で“ヘイワード(現在一般的に出回っているグリーンキウイの品種)”が一番良さそうだ!となって、みんなで苗をたくさん植えたんだ。まぁ、一種の賭けみたいなもんだよね。それが見事当たって、ヘイワードキウイは今ではかなり一般家庭にも浸透しているからね。いやぁ、良かったよ。

 なぜ無農薬・無化学肥料の栽培に挑戦しようと思ったのか?

キウイ栽培開始当初は、農薬も使用していたんだけど、農薬や化学物質が食べる人や畑の土壌に与える影響は無視できないとずっと考えていたんだ。当時、19701980年代というのは公害被害が問題化した時代でもあるしね。それに加え、生協の組合員さんたちの「安心安全なものを食べたい」という声を聞くようになってきたんだ。

食べる人達の需要があるならやってみよう!それが大きなきっかけだったね。なんてったって、買ってくれる人がいないのに作っても成り立たないからさ。

 

そしてみんなで試行錯誤。無農薬・無化学肥料の栽培に挑戦し始めてから約6年後、1985年にやっと全面的に切り替えることができたんだ。

 JAS有機認証の持つ意味はなんですか?

独自の基準で無農薬・無化学肥料の栽培経験を積み重ねていくなか、2000年に日本でもJAS有機認証制度が始まった。すぐにジョイファームのメンバー達と一緒に申請、2001年にJAS有機認証を取得したんだよ。JAS有機認証を取得するのは、まあ、大変だったね。ただ農薬や化学肥料を使わないっていうだけじゃないんだ。それまで受粉に使っていた石松子(受粉の時に花粉に混ぜるもの)は人工着色料を使用していたので使えなかったり、栽培に使用する道具類も他と区別しなくてはいけなかったり、栽培や出荷の細かい記録をつけなくちゃいけなかったり、有機として出荷するのに使う包材の管理にも気を配ったり。。。そんなこんなをクリアして、国の厳しい検査を通ってやっと取得できる。

 

ほんと大変だけど、JAS有機認証というのは自分で「これは有機栽培したものですよ。」というのではなく、国から「これは間違いなく有機栽培されたものですよ。」とお墨付きをもらうっていうこと。消費者の方たちに“間違いのないもの”をお届けしたいので、そのためにJAS有機認証を取得しているんだよ。JAS有機認証にはそんな生産者の想いがつまっているんだと思って受け取ってもらえたら嬉しいね。

自分が栽培したキウイのご自慢は?

キウイはえぐみがあるってよく言われるけど、それは化学肥料を使っているからだと思うんだ。有機質のものだけで、畑の土が持っている力とそこにいる微生物の力を使って、より自然に近い形で育てると違うよ。だってうちのキウイはえぐみがなく、香りが豊かだよ。ぜひキウイ本来の美味しい味を知ってほしいな。


一番古い木(まだ実をつける)

枝の剪定(冬)

施肥