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長谷川農園生産者紹介③


連日20度を超える陽気の小田原では早咲きの梅が散りはじめ、遅咲きの梅も満開です。

生産者達はこの時期、梅の剪定が終わったらキウイの剪定、それが終わったらみかんの剪定…と、剪定に追われる毎日です。

ヘアリーベッチ
ヘアリーベッチ

梅畑に行くと緑肥であるヘアリーベッチ(マメ科の植物)が成長し、地面を絨毯のように覆っていました。このヘアリーベッチは畑の雑草を抑制してくれたり、窒素を供給してくれるメリットがあり、ジョイファーム小田原の生産者の畑ではよく見かけます。

 

「このままだとヘアリーベッチも草丈が伸びるので、夏前くらいに一度草を刈るんですよ。」と話すのは長谷川農園の社員の中でも最年少の山本卓宏さん。

 

この日は背丈が高い梅の木の剪定をしていました。

剪定の現場に持ち込んでいる脚立は樹高に対して半分ほどの長さ。脚立が届かない高さになると軽やかに木に登ると手際よく枝の剪定をしていきます。

梅畑は借りる場所、もともと耕作をしていた生産者の木の仕立て方によって作業効率も収量も大きく異なると言います。

山本 卓宏(やまもと たかひろ)

 


生まれてからずっと小田原に住んでいて、外に出たことがないんですよ。

大学もバイクで通える距離だったから、通学用に家を借りる必要もなかったですし。

小田原って山も川も海もなんでもあるのに東京にも近くて静かで住み心地がいいですよね。

僕は高校、大学ともに農業に関係のある学科ではなく、卒業後の就職は地元のスーパーで働いていました。

 

今はやっていないんですけど、23歳くらいの時からヨガをやっていて、たまにクラスの講師が休みだったら代理で教えたりしていたんですよ。ある時、「ヨガの聖地はどこだ!?インドだ!じゃあインドの聖地を見に行こう!」ってなって仕事を辞めたんです。

昔はツーリングに行ったり音楽のフェスティバルに行ったりとかアクティブで、今は趣味といえば家庭菜園をするくらいです。

この頃の思い切りの良さは若かったからですかね~?(笑)

でも海外に行くにはお金が必要だから働かなきゃと思ったときに、ハローワークで長谷川農園のアルバイトの求人が載っていて、農業に関わってみたいと思ったのがきっかけで、はじめはアルバイトとして働いていたんです。

冬になると4ヶ月くらいインドに行って、帰ってきてまた働いて…ってサイクルが2年間続いて、そこから社員になりました。

社員になってから5年~6年くらいだと思うんですけど、一通りなんでも作業をこなせるようにはなってきました。

 

農業経験が全然なかったので品種や品目によって剪定の仕方って違うことや、梅にしても品種によって梅干しのつけ方が違うから初めて作業をしたときは衝撃的でしたね。

僕は主にみかんの担当なのですが、みかんって実際に生産に関わると、価格が安いよな~って思います。

じゃあ適正価格がいくらかと言われると、正直今の価格の2倍くらいじゃないかなと思います。

小田原は傾斜地にみかんが植わっているから草刈りは人の手でないとできません。それなのに草刈をしないと草がみかんの木を覆ってしまいますから、他の作物にくらべて草刈りの回数が多いんですよ。

 

あとは選果。選果は梅やキウイにもありますが、みかんは貯蔵庫でねかせてる間も定期的に様子を見ていかないと、気候によって腐りや傷みやしおれに影響がありますからね。

最近は企業が農業に参入して野菜の水耕栽培をしていますけど、みかんは機械化できても選果機を使うくらいかなって思います。

 

今の若い人って現実を見ていて、みかん農家は息子さんはいるけど農業を継いでいない人が多いんです。

それは、自分の親世代がみかんの農家で、四六時中働いて、収入が安定してなくて、手間がかかっている…って苦労している姿をみているからなんでしょうね。

もし自分が独立しているならみかんは栽培していないだろうなと思いますね~!僕も結婚して妻もいますし子どももまだ生まれて半年です。みかんって関わったら楽しいんですよ。でも、家族がいたら生活に関わってきますから、やらないと思います。

今は農園としてみかんの栽培ができていますが、このままでは高齢化がすすむみかん農家が、自分の畑を管理しきれなくて「後継者がいないから長谷川農園に借りて欲しい」ってなっていくのも時間の問題です。

引き受けたい気持ちはあっても、今も長谷川農園は限界以上に畑を借りて耕作をしている状態なので、引き受けることができなくなってしまいます。

もしも国産にこだわるなら農業者を大切にして欲しいと思うんです。

 

農業が魅力的な仕事だと思えるようになって、1つの職業として成り立っていって、若い人が仕事として選んでいくようになって、「みかんの栽培」を選べるようになって欲しいなと思っています。

もともと「ポジティブだよね!」って周りからも言われますが、仕事をするときはネガティブなことは言わないですね。

皆が気持ちよく仕事できるようにしたいんです。パートさんにも「働いてて良かった」とか「楽しい」と思ってもらえるような農園にしていきたいです。

 

長谷川農園って若い人の集まりだから、可能性は無限だし、その分会社もどんどん大きくなっていくと思うんですよ。

 

僕が生まれも育ちも小田原だからこそ、長谷川農園が小田原の生産者として存在感を出していって欲しいと思っていますので、これからも良いものをたくさん作っていけるように、頑張ります!