· 

小田原の晩柑類、生産者さんの想いと一緒にお届けします

 

柔らかな春の日が差し込む4月上旬、小田原市米神の生産者さんを訪ねました。この時期はゴールデンオレンジ(黄金柑)の収穫が最盛期ですが、畑には収穫を待っている甘夏、カラマンダリン、そしてバレンシアオレンジが実っていました。

米神の生産者、広石さんにいつ頃からみかんを作り始めたのか聞いてみると、「150年か?もしかすると200年前くらいからかな~?自分の祖父、そしてその前からだからな~」と答えが返ってきました。調べてみると、確かに小田原米神地区でのみかん栽培の歴史は江戸時代までさかのぼるようです。*1 さらに温州みかん以外の柑橘(晩柑類)をいつ頃から栽培し始めたのか尋ねてみると、そこにはみかん農家さんの生き残りをかけた試行錯誤があったことが分かりました。

1960年代までは「みかん御殿」が建つとまでいわれ、稼ぎが良かった温州みかん。ところがみかんが全国で過剰に生産されるようになり、また1972年の大豊作と前年のグレープフルーツの輸入自由化が重なって、みかんの価格が暴落。広石さんによると、「みかん全盛期のころは、東北の方から住み込みで収穫作業の手伝いが来ていたが、価格の暴落で人は雇えなくなった。そこで労力を分配するため、一挙に人手がかからず、収穫時期が重ならない工夫をする必要があったんだよ。」

 

こうして収穫時期がずれる晩柑類の栽培が盛んになったといいます。昔から晩柑類、特にネーブルオレンジは海沿いの店でお土産として売れていましたが、さらに栽培品種を増やしていき、今では米神のほとんどの生産者さんが10種類以上の晩柑を栽培しているそうです。

 

 米神生産者:松本修二・鈴木武久/咲子・広石計典/佳子


"安心して食べてもらえるものを作りたい"と減農薬、除草剤を使わない栽培に取り組んでいる広石さん。畑仕事で大変なことは草むしりだと言います。今までなかった外来種の雑草が増え、傾斜地でも草むしりは思いのほか重労働だそうです。それでも頑張る広石さん、「うちの甘夏は最高さ!これを食べたらほかは食べられないよ~」と、自慢げに微笑んでいたのが印象的でした。

生産者さんの想いのこもった晩柑類、セミノール、ニューサマー、カラマンダリン、そしてバレンシアオレンジと、これから6月まで出荷が続きます。大きさ、色、そして味もさまざまですので、ぜひお試しください。

 

*1 神奈川県公式ホームページ

  http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/p1041308.html