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もっと知ってほしい “小田原みかん”のこと 【その①】

11月中旬になり、早生みかん(温州みかん)の出荷が最盛期を迎えています。そしてつい最近、嬉しいメッセージをいただきました。早生みかんのご注文をくださったお客様が「特有の酸味のある、本来の小田原ミカンが大好きです。」というコメントを添えてくださったのです。最近は糖度重視の傾向が強まり、「酸味と甘味の絶妙なバランス、甘いだけじゃないみかん」という小田原みかんの特徴がなかなか受け入れてもらえません。その結果、糖度落ちで安い値がついてしまうというケースが多々あります。そんな現状の中、小田原みかんの根強いファンがいてくださるというのは大きな励みになります。

そこで。。。。今日は“小田原みかん”のこと、簡単にご紹介します!

Q1)小田原みかんはいつから栽培されている?

小田原でのみかん栽培の歴史は長く、江戸時代にはすでに栽培が始まっていました。小田原の温暖な気候と、水はけのよい土壌(火山灰)が栽培に適しており、この小田原が温州みかん栽培の北限といわれています。そして明治時代に鉄道が開通したことをきっかけにみかんは本格的に商品化され、順調に収穫量・販売量を増やしていきました。しかし昭和46年のグレープフルーツ輸入自由化、そして翌年の豊作による生産過剰などからみかんの価格は大暴落、小田原みかんの収穫量もこれを機に減少へと向かっていきました。


Q2) 小田原では今、どのくらいのみかんが生産されている?

 

小田原は神奈川県内収穫量では第1位。神奈川県は全国で第10位の産地です。(2017年統計)

収穫量のシェアーは全国の約2.5%、最大産地の和歌山の20%には遠く及びませんが、年間約2万トンを収穫しています。

 

Q3) 小田原のどこで栽培されている?

 

小田原では早川/片浦地区、久野地区、そして国府津/下中地区の3地域でみかんが栽培されています。早川/片浦地区は一般的に温州みかんの栽培に適しているといわれる海沿い、そして久野地区、国府津/下中地区は山間で栽培行われており、主に日当たりの良い丘陵地に段々畑の園地が作られています。

 片浦地区:大津みかん

 下曽我地区:青島みかん


Q4) “小田原みかん”の特徴は?

 

最初にご紹介しましたが、“小田原みかん”の一番の特徴は「しっかりしたみかん本来のあじ、甘さと酸っぱさの絶妙なバランス」です。「甘いだけじゃ物足りない!」という方々に根強い人気です。

 

10月に収穫される極早生は、露地みかんの一番手。緑色の果皮が特徴的です。極早生の魅力はなんといっても、爽やかなみかんの香りと甘酸っぱさ。そして11月になると早生が収穫されます。極早生よりも酸味が落ち着き 、甘さが感じられます。 小田原では極早生、早生共に収穫してすぐの出荷となるため、フレッシュな風味が楽しめます。

 

そして小田原みかんのエース的存在が「大津みかん」。神奈川(湯河原)生まれの大玉の品種です。そのままでは酸味が強いため、12月に収穫したあと風通しの良い所で熟成させてから出荷します。貯蔵中に熟成が進むと酸のカドがとれ、コクのあるまろやかな味になります。また小田原では大津みかん以外の品種も12月までに収穫を終え、貯蔵みかんとして1月から3月にかけて出荷されます。

 

こうして長い歴史を持つ小田原みかん。みかんと小田原は切っても切れない関係なのです。

さて今年の作柄ですが、地区によってだいぶばらつきが見られます。早川/片浦地区は今年は表年なのですが、イノシシ被害が拡大しているため、収穫量は昨年の1.3倍くらい。下曽我/下中地区は裏年で収穫量が少ないうえに、そうか病(菌によって感染)が広がっており出荷できる量はかなり落ち込む見込み。(昨年の0.7倍ほど) 久野地区はもともとみかんの収穫量はそれほど多くないのですが、台風が関東に上陸した後にカメムシの大発生があり、やはり収穫量は落ち込みそうです。(昨年の半分) 

 

そして気になる食味は? 7月に雨が多かったので全体的に水っぽい感じでしたが、この所の秋晴れで徐々に味を戻してきています。このまま安定したお天気が続けば、例年通りの「絶妙な酸味と甘味」の小田原みかんがお届けできそうです。