今年は早くから菜花がとれはじめ、毎日菜花の生産者は大忙しの毎日でしたが、気温が高い分、2月上旬には一斉に収穫量が減ってきました。
ジョイファーム小田原から車で約10分、小田原市飯泉の一角に、長谷川農園で菜花を耕作している畑があります。
実際に畑を見ると、既に黄色い花があちこちで咲いており、収穫期の終わりが近いことを予感させます。
『忙しいけど、作業しながら話をするのでよければ、明日は畑にいるから』と話すのは長谷川農園の頼れるお兄さんこと小出龍さん。
ところが畑に着いて開口一番、『まさか話を聞いただけでそのまま帰るなんて言わないよね?』と収穫のお手伝いを迫られ、実際に収穫をすることに。
花茎も出荷できる基準よりやや短いものも多くなってきており、収穫すべきか・残しておくべきかの一瞬の判断や、均等な長さでの摘み取りが難しく、なんとかついて行くのが精一杯です。
ベテランの生産者達が「野菜は短期間でどれだけ収穫できるかが勝負だ!」と言っていたことを実感しました。
小出 龍(こいで りゅう)
生まれは茨城県で大学卒業後は工業メーカーで働いていました。もしかしたら祖母、祖父に辿っていけば農業をやっていたかもしれませんけれど、転職のときに農業をやりたいなと思うまでは全く農業に携わった経験がありませんでしたが、長谷川農園に入るまでは少しだけ、茨城の農業法人で研修を受けました。
就農するなら土地が豊かな千葉もいいなと思いましたけれど、千葉の求人は年齢制限が厳しくてあわなかったし、群馬も野菜の生産地として有名だし、茨城も環境が良かったけど、たまたま求人が出ていた小田原以外は広大な農地で単一栽培をしているところばかりだから、果樹も野菜もできる小田原にしようと思いました。
長谷川農園は自分の思い描いた農業のイメージ通りでしたが、農業の機械化って思ったほどすすんでいないのが現実なんだと思いましたし、人海戦術で挽回する、「長谷川パワー農業」はすごいと思いました。
長谷川社長って、長谷川農園を作り、小田原市内のたくさんの農家をまとめてジョイファーム小田原を作ったってこともすごいことだと思っています。
ここの栽培は環境に優しく、必要のない農薬を使わないってところも気に入ってますね。
ただ、唯一衝撃を受けたのはみかん山の傾斜がすごいってことですね。ホントの山の斜面に木が植わってる!と思いました。もっと平らな場所にあると思っていたので…。
小田原は気候が暖かくていい所だと思いますし、実際に野菜を作っていて、いろんな作物を育てられる可能性がある土地だと感じています。
バイクが趣味なのですが、ツーリングするにはいい所がいっぱいありますよね。山もあるし、川もあるし、海もある土地なので。
僕は菜花・玉ねぎ・ブルーベリーの担当なのですが、野菜は特に収穫が大変で、常に人手不足だと感じます。収穫期以外は苗づくりや種まきに追われたりしますが、何事も1つ1つ、次に作業する時はどうしたら作業しやすいかを考えて作業をしていますね。雑に作業をすると、次回から効率が悪くなってしまうんです。
それと、野菜は買取価格が安いので、赤字にならないようにと考えた場合には手際の良さが求められます。
例えば菜花は畑の中で水が溜まりやすいところでは生育が悪く、成長しても花が咲きやすいという性質があるので、可食部をどれだけ短時間で多く収穫するかを考えたら、わざわざ花ばかり咲いている生育の悪いところで可食部を懸命に探す必要はないんです。今年は早くから菜花がとれはじめたので、2月上旬には収穫できる量が落ちはじめました。皆さんの手元に届くまでに花が咲かずにおいしい状態でお届けしたい!と考えると、花が咲いていなくても蕾がうっすら黄色いようなものの収穫は避けたいですし、まだとれる状態でも、状況をみて収穫をやめるようにしています。
これらの効率の良さを支えてくれているのは農園で働いているパートさん達です。
本当に皆優秀なので、ベテランのパートさんが作業に加わってくれると助かります。
菜花はベテラン勢がいないと成り立たないなと思います。特に、パートの齊藤さんは何をやらせても早いですね。
農作業はセンスも問われますが、いつもとてもいい仕事をしてくれます。
長谷川農園に入社して10年、僕は10年後も同じように農業をやっていると思います。
今後も変わらずいいものを作りたいと思っていますし、個人的な気持ちとしては、給料は安いけれど楽しいから継続できています。
ただ、会社として農業を成功させていくとなれば話は別で、農業ってきつくて儲からないイメージが強いですが、そのイメージを「会社として農業をやったら成功する」に変えたいと思っています。
継続的な農業をするためにも、是非「良い農産物を適正な価格」で買ってもらえたらと思います。