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研修スタート!~キウイ農家への道~


夏の気配を感じる陽気、目にも鮮やかな新芽たち。

キウイフルーツの木はつい先日芽吹いたばかりと思っていましたが、新梢にはもう花がついており、その成長の早さには大変驚かされます。昨年は全国的に不作傾向であったことから、今年は豊作を祈るばかりです。

 

さて、先月4月から キウイフルーツ生産者 遠藤国雄さんのところで就農希望者を受け入れ、研修が始まりました。

今まで、新規就農をした生産者に話を聞く機会はありましたが、今回は研修中の河口奈央さんと研修を受け入れた国雄さんのお二人に、お話を聞くことができました。

4月下旬、国雄さんの畑に行くと、キウイ棚の下草がだいぶ伸びており、今日は朝から刈払い機を使って下草刈りをするとのこと。

 

「刈払い機で均等な長さで刈ることはなかなか難しいです。この間は深く刈りすぎて土までめくれてしまいました。まだまだ国雄さんのようにはいきませんね。」と話す奈央さん。研修がはじまるまで刈払い機の使用経験はありませんでした。

仕事として農家を

生まれは岩手県なのですが、両親の仕事の都合で各地を転々としていました。非農家出身なので、農業の経験はありませんでしたが、中学生の頃、高校受験の時に漠然と「将来は農業大学に入りたい!」と思った時期がありました。でも、実際に入った大学は農業大学ではありませんでした(笑)

前職は施設野菜メーカーで野菜作りもしていて、仕事自体はとても楽しかったのですが、常に忙しかったですね。慢性的な人手不足でしたので、事務仕事も現場仕事もしていました。

自分の上司は常駐をしているという環境ではなく、いくら上司がいないといっても組織に所属をして仕事をしている以上、思ったことがあっても私には決定権にはないのです。

一方で、様々な内容の仕事をこなしていたからこそ、自分が独立しても個人農家としてやっていけるのではないかという思いが生まれました。友達は私が農家になることを応援してくれました。前に務めていた職場は残業が多く、実は周りが心配してくれていたようです。

会社勤めをやめ、農家になることに両親の反対はなかったです。止めてくれなかったですね(笑)

 

私はキウイフルーツが好きで、青りんごとか、メロンとか、マスカットとか、緑色のくだものが好きなので、何をメイン作物に農家になるか考えた時にキウイは候補に入っていました。

 

単価が高くて成功しやすい「いちご」もいいなと思って色々調べたのですが、安定したいちご栽培にはハウスが必須で、初期投資が高く無理だと感じました。

研修に行き着く大変さ

今はどこの市町村に相談に行ってもアカデミー(農業大学校)への入学をすすめられますね。でも、私はアカデミーで過ごす時間を現地で物事を経験し、人との繋がりを作る時間にあてたかったので、2年間農家さんのもとで研修をして農家になることを決めました。

小田原で就農が決まる前に、実はたくさんの市町村に問い合わせをして、機会があれば見学にも行ったりしてきました。でもほとんどのところはまずその市町村に「住んでいないと駄目」という大きな壁があります。

就農希望者にとって、研修も受けられるかどうか分からない段階で「移住」を迫られるというのは本当に責任が重いなと思いました。

その中でも、小田原市役所に相談をした際は、丁寧な受け答えをしてもらい、良い印象を持ちました。

そこから小田原の農業を調べていた時にジョイファーム小田原のブログで若手生産者の記事を読み、ジョイファーム小田原に研修の相談に行ったのです。とても親身に話を聞いてくれて、国雄さんを紹介してくれました。なので、将来的にはジョイファーム小田原に恩返しできるようにがんばりたいなあと思っているのです。

国雄さんの印象はやさしい方ですね!一番初めは寡黙な方なのかと思っていたのですが、いつもニコニコしています。ご近所の農家さんとはとても仲良しで、仲間が集まるととても盛り上がっています!

奥様の栄子さんもとてもやさしいです。何をやっても早くて、先日は畑で収穫の終わった菜の花のかぶを一緒に抜きに行ったのですが、抜くのが本当に早くて驚きました。

研修をはじめた今・将来の話

3月に小田原市に引っ越してきて、4月は週3回、8:0017:00遠藤さんのところで研修をしています。

もともと週5回の予定だったのですが、このところ雨が降ったり、今はキウイの繁忙期ではないので。

かわりに国雄さんが出荷しているお花の鉢を替えたり、この間はレモンの苗木を定植しました。キウイの誘引はまだ1度だけですが、やらせてもらいました!

研修が終わった後はアルバイトをしています。スポーツ(ジョギング・サッカー・ボルダリング)をやっていたので体力と力は結構あります!

助成金は今のところ受けていないですね。小田原市の農業研修における家賃補助は申請しようかと思っているのですが、まだ手続きはしていないですね。

引っ越したばかりなのでまだ小田原のことが分かりませんが、この間小田原城の桜は見に行ってきましたよ。とても綺麗でした!

 

キウイ畑は山にあるので、将来的に畑の行き来には軽トラックを運転することになると思うのですが、何かあったらと少し不安です(笑)

生きものは得意ではありませんが、手袋をすれば平気です。でもいのししが来たらどうしよう…

 

今本を読んでキウイ栽培の基礎について勉強をしているのですが、1年後は知識と違う点や理解ができない点なども出てきて疑問を感じたり、今はよく分からないことも理解して、年間の作業を一通り経験してキウイ栽培の流れがだいたい分かってくる頃だと思います。でもまだスタート地点ですね。

2年後の農家資格を取得できるころには、何でも1人でできるようになりたいです。

今は久野でキウイフルーツの畑を農家さんを介して探していて、畑が見つかり次第、キウイの棚作りから始めたいと思っています。就農してから苗木を植えるのでは遅いですから。

 

前にデパートでキウイ1玉2,000円という価格を見たことがあります。おそらく技術によって糖度が高いことも高価な理由の1つですが、糖度だけではこの価格にはならないと思うのです。

ブランド化って面白いなと思いました。他のキウイフルーツとの差別化は大切です。そんな農家になれるように、独立してもいろんな技術の勉強をして、検証していきたいです。

 

もし今農家になりたいと悩んでいる人がいたら、早いに越したことはないと思います。思っていても行動に移せないことって多いですが、私も30歳になるまでには何かやりたいと思っていたんです。歳を重ねた後に決断するとなると、配偶者のことや子どものことなど、考えていても簡単には行動に移せなくなりますからね。


研修生を受け入れて (遠藤国雄さん)

河口さん以外にも過去に1人研修生を受け入れたことがあるけれど、その子の場合は小田原市から依頼されて受け入れて、もう独り立ちしているよ。

農家が研修生を受け入れるのは簡単ではないよ。まず自分のペースで仕事をしたいと思ってもそうはいかない。研究生中心に作業を行なわなければならないし。

今回の河口さんはキウイ畑を見たことはないそうですが、キウイは5月以降が本格的な研修。

今朝は畑に一度草刈りに来たんだけど急に雨が降り始めたからビニールハウスの中でできる花の鉢替えをしていたんだよ。タダで研修を受け入れているなら、今日は何もない!で終われるけど、彼女もこれから先、農業に必要な道具を購入する資金も稼がなきゃいけないからね。アルバイトとしても雇っているからには雨でもできる作業を用意しておかないといけない。

 

河口さんはキウイ栽培の経験がないから、これから先は1年間のサイクルを覚えて、誰かに何か言われなくても「次はこれをやる」って考えられるようになってほしいね。今年の冬頃からは就農の準備をしなきゃいけないから、苗や棚、はたけの準備をしていって欲しい。

最近では農家の子が農業を継がない。農業を継ぐ人がいないため畑の「放任園」(※後継者不足や高齢化に伴い管理がされなくなった園地)が増えているので、新しく農業を目指す人には良い環境だね。新規就農者には国からの補助金が出るそうだし、うまく利用して頑張って欲しいね。幸い、意欲があって前職の関係で農業のことは理解しているみたいなので。

キウイ栽培の場合は1人で作業できるのは30アールが限界かな。うちは90アールキウイ畑があるんだけど、他の作物もあるので剪定が追いつかないよ。

 

研修が終わるまでに「早く収入を得られる環境を整える」「研修が終わったらすぐ収穫に直結するように畑を探しておく」「設備を整える」「資材置き場を探しておく」は実践してほしいと思っているよ。

 

私も少しでもお手伝いができれば!!

★研修中の河口さんには、今後フェイスブックにもご登場いただきます。

 是非応援を宜しくお願いします!