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若手生産者紹介【その⑤】

 

 

中津川 尚秀(なかつがわ たかひで)

 


 

美味しいキウイ、品質保持、信用を得てこそのこだわり!

 

昔から農業を継ぐことを考えていたので、大学をでてから海老名にある農業アカデミーに1年通いました。ですから本格的に農業を始めたのは、23歳から24歳の時ですね。父はもう畑仕事をしなくなってしまっているので、5年前くらいからは一人で切り盛りしている感じです。ま!就農したときから父とは基本、一緒に仕事はしないことにしていましたけどね。すぐ喧嘩になってしまうのが目に見えていたので…

うちはもともとみかん農家だったんですけど、みかんからキウイに切り替えて、今は他に玉ねぎと、自分が始めたぶどうを栽培しています。ぶどうはアカデミーで基本を習ったことをベースに、あとはぶどう農家を訪問したりして知識を増やしていきました。だからキウイに関しても、実はぶどうの栽培知識がベースになっているんです。キウイもぶどうも落葉果樹なので、ぶどうとキウイで何が違うかを考えると応用の仕方が分かってくるんです。

自分は“農家を継ぐ”という形で就農しましたが、新規で就農する人はいろいろな面で大変じゃないかな。78年前に若手生産者でミーティングをしたときに出た話ですが、新規就農者が一番頭を悩ませるのは、「売り先をどうしたらよいか」ということみたいです。世襲の場合は親の売り先を引き継ぐことができますが、新規就農者は自分でいちから開拓していかなくてはいけませんからね。農作業は先輩農家さんから教えてもらえますけど、営業・売り先のことはなかなか教えてくれる人がいないのが現状です。自分は独自に営業をして売り先を増やしてきましたけど、最初はわからないことばかりでしたよ。はじめて商談会に参加したときには、自分だけカジュアルな服装で、後の方々はスーツだったりして… 今でもやっぱり、営業よりも作る方が楽しいですね。特にキウイは素直だから、やればやっただけ成果がでるんです。

 

自分の経験から思うんですけど、売上を伸ばすためには、まず信用を確立することが大切なんじゃないかな。そのためには売り先にきちんと説明できるように、品質の規準をしっかり守ることだと思うんです。その上で他のキウイとの差別化をして、違いを分かってもらう。例えば、自分が作るキウイは収穫前に畑で糖度をチェックします。糖度が6.5度を超えるまでは収穫しないし、基本午前中しか収穫はしません。午後に収穫すると果実温が上がって、冷蔵庫で腐りやすくなっちゃうんです。“あたりまえのことをあたりまえにする”だけなんですけど、品質を保持することで着実に信用を得ていき、こだわりも分かってもらえる…そんな努力が必要ですよね。


自分のキウイもどうにかここ34年で、満足がいくものができてきました。でもまだまだ改善の余地はあると思っています。自分が目指しているのはちょうどよい大きさでサイズをそろえること。剪定の技術次第で実のなり方が違うんです。サイズがばらばらだと結局選果作業で時間も手間もかかってしまうので、サイズをそろえるために一番良い剪定方法を追求したいと思っています。収量と糖度も、もっと上げていきたいし、なにより消費者に“キウイは美味しい~!”と思ってもらえるものを作りたいです。キウイを美容や健康のために食べるという人は多いと思うんですけど、“美味しいから食べる”といってくれる人はまだ少ないんじゃないかな… キウイが美味しいと知ってもらえれば、まだまだ消費は伸びていくと思うんです。

 

こらからも先を見据えて、美味しいものを作っていこうと思いますので、

ぜひ小田原のキウイに注目してください。