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長谷川農園生産者紹介④


近年、小田原では梅雨が長引いたことによる日照不足で病気が発生したり、夏の大型台風の被害でみかんの木が倒されたり、キウイの葉が全て吹き飛ばされてしまったこともありました。

 

今年の2月に日中の気温が20℃を超える日が続いた小田原では、時折強い風が吹き、梅の枝の選定を行なっている生産者は脚立が安定せず、一苦労です。

「梅の防除をしたいのに強風でできそうにないな、こんなに天気がいいのに。」とつぶやく生産者も。農薬の使用回数を減らしているジョイファーム小田原の生産者にとって、適切な時期に防除ができないということは品質に大きく影響します。

みかんの貯蔵庫も気温が高くなり、ねかせているみかんにも傷みが発生していきます。

 

「いいお天気ですね…色々やりたいことはあるんですけれど。今日は外には出られずに、まる1日みかんの選果をしています。」と言うのは柳田憲一さん。

 

数トン単位で青果を管理している長谷川農園では、定期的なみかんの選別が欠かせないといいます。

柳田 憲一(やなぎだ けんいち)

 


千葉県出身で、千葉といえば農業が盛んなイメージがありますが、高校、専門学校を卒業した後は東京でIT関係の仕事をしていたんですよ。

今の時代はスマートフォンが主流で、漫画を読めるアプリがたくさんありますが、携帯電話が主流だった時代にも携帯電話で漫画を読めるサービスがあったんです。

1コマごとに画像を切り取って小さい画面でも読者が無理なく読めるように編集して、画像が大きすぎてもいけないし、きちんと文字が潰れないように、読みだせる文字の大きさを調整したりする、そんな仕事でした。

 

12年ほど前に母と小田原市のすぐ近くの秦野市に移住することになりました。

特別に秦野に何かあったということではなくて、母とどこに移住しようかって相談していた時に東京からも近い秦野は良さそうだなあと思ったんです。

 

ところが東日本大震災の時に、東京は交通網が麻痺してしまい、私も新宿に通勤していたもので帰宅難民となってしまったんですよ。

その時にはじめて、自分の実家の近くで仕事をしたいと思って、転職活動をはじめました。

ハローワークに行ったり、タウン誌をみたりしても秦野市では求人情報があまり出ていなかったんです。正社員で採用するところがなかなかなかったので契約社員として働いていた時に、ゴルフ場の芝生の整備(造園の仕事)と出会い、自然を相手にする仕事っていいなと思ったんです。

 

バイクに乗るのも好きでしたし(事故にあったので今はバイクには乗っていないのですが)、アウトドアも好きですし、アウトドアの漫画をもとに旬の食材を活かした料理を作るもの楽しいと感じますし、もともと自然を感じられるようなことが好きだったのかもしれませんね。

 

その頃にちょうど秦野市からすぐ近くの小田原で、農業の求人が出ていて、それが長谷川農園だったんです。約4年前から働きはじめました。

小田原に近い秦野に住んでいても、小田原には全然行ったことがなかったので、曽我梅林をはじめてみたときは綺麗だと思ったし、緑豊かないい所だなって印象でした。

 

長谷川農園は生産量がすごい上に、管理している畑の数も多いので、はじめたばかりのときは圧倒されましたね。

 

もともと農業の経験が全然ないので、まだ自信があるような農作業の技術はないです。

長谷川代表の前で得意です!なんてとても言える自信はありませんよ…(笑)

ただ、技術が追いついていない分、体はいくらでも使えますから、例えば草刈りや木に登っての収穫は得意だと思っています。

これから先、夏場は毎日のようにみかんと梅畑の草刈に追われますね。

 

私は何の品目担当ってことはなく、いろんな作業に関わっています。

でも、もっと歩留まりの良い、いい農産物を作りたいと思ったときには、やっぱり社員が5人しかいないのだから、役割分担は大事だと思うんです。いいものを作れる余裕と環境を整えていかなくてはいけないですよね。

でも今は剪定の作業に追われていますし、まずは剪定をしっかりと覚えたいんです。

「剪定」って作業だけが大事なんじゃなくて、後々の収量とか、収穫時の作業のしやすさとかに影響してくるから、農業をする上でとても影響力があると思うんです。

だから剪定を出来る人が増えていかないと、耕作放棄地の解消や、後継者不足とか、今、日本の農業で困っていることを具体的に解決するのは難しいだろうと思いますよ。

 

小田原の農業の今後のことを考えると、若い農家が少ないから、若い生産者が多いうちの農園に畑を任せたいって思う人がこの先増えてくると思うんですが、長谷川農園だけじゃ受け入れきれないと思うので、もっと若い人が農業をはじめてくれるといいなと思います。

 

長谷川農園は積極的で精力的な人が多くていい会社だと思っていますから、より大きくなっていけるように、今は自分の技術向上を目指し、頑張ります。