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ニューサマーオレンジ

5月に入ると小田原はぐっと気温が上昇します。

田植えに向けて田んぼに水が入り、夏野菜の成長がはじまり、木々は元気よく葉を茂らせ、この季節の自然と農の美しさは素晴らしいものがありますね。

 

今年は2~3月に暖かい日が続き、4月には真夏のような気温の日も続いた為、全体的に作物の収穫日が早まることが予想されます。

 

 

5月中旬よりニューサマーオレンジの出荷が始まりました。

ニューサマーオレンジはミカン科ミカン属、別名では「日向夏」「小夏」「土佐小夏」とも呼ばれており、「日向夏」の呼び名の方がなじみ深い方も多いのではないでしょうか。これは、生産地によって異なり、一番生産量が多い宮崎県では日向夏、二番目の高知県では小夏・土佐小夏、その他の生産県ではニューサマーと呼ばれています。 ニューサマーの黄色い外皮と果肉の間のは白い部分は「アルベド」と呼ばれ、このアルベドは苦みがなくほんのりと甘味があり、食べることができます。 アルベドはビタミンPを含んでおり、毛細血管を細菌やウィルスから守る働きがあり、内面から若々しく活動したい方には積極的に摂取してほしい成分です。 さらに、一緒に含まれているビタミンCの働きを助ける効果もあり、お肌をきれいにしてくれますので包丁でりんごのように黄色い皮をむき、白いアルベドごと大胆にカットをして食べましょう。

 

今回お話を聞いたのは石橋支部の鈴木裕章さん。柑橘を20種類以上栽培しており、ニューサマーもそのうちの1種です。ニューサマーは1種だけでは受粉しにくい為、何種類も柑橘を栽培している畑で育てる畑が良いそうです。

 

「ニューサマーは不作でも玉の大きさがよかったり、豊作でも玉が小さかったりする特徴のある木だね。今年は暖冬の影響で熟すのが早かったし、酸の抜けも早いと思うよ。

暖かい気候を好むニューサマーだから温暖化という状況は栽培に向いているかもしれないねえ。最近は夏に大きな台風が来て、毎年のように木にダメージが残っているんだよ。一旦収穫が終わらないと木に残っているダメージがリセットされないね。小さな花芽も見えないところで傷ついているからね。正直なところ、台風は病害虫より怖い。木にも傷みを残すから。」と鈴木さん。

気候は農業に大きな影響を与えているのですね。

 

ニューサマーの花が咲くのはこれから、今年の夏はどうなるのか心配です。

皆様に良いものをお届けする為にどのようなことをしているのでしょうか?

 

「他の柑橘に比べて枝の伸びるスピードが速いので、特に剪定を多くして管理しています。枯れ枝も取り除いてあげて、そうすることによって木の中に光が入り、おいしくなるんだ。あと大切なことは安心して食べてもらえるように厳しい栽培基準をしっかり守ること!」

ところで、ニューサマーといえば、小田原からも近い、伊豆のおみやげとして人気がありますね。現在小田原ではレモンの人気が高まってきていますが、小田原のニューサマーは今後新しい顔となるのでしょうか?

「伊豆のニューサマーの知名度は神奈川県でいえば湘南ゴールドくらいの知名度になるのかな?小田原のニューサマーとして知名度を上げていくのはちょっと難しいかもしれないね。もし、伊豆と競るくらい有名になりたい!と思うならまず量が必要だけど、ニューサマーを育てるには暖かさが必要だから市内でも土地によっては作れないんだ。石橋地区は暖かいから作れるけどね。市内のあちこちで作られているレモンは徐々に他県でも見かけられるようになってきたよね。たまたま用事があって行った千葉県で小田原のレモンフェアを開催してるのを見かけたよ。

過去には台湾で開催された神奈川県の農産物商談会で小田原のニューサマーを持ち込んだこともあったけれど、台湾は日本に比べ冬でも暖かいから、その気候を活かして栽培している柑橘の種類も豊富。しかも、台湾に向けて輸出するのであれば九州・中国・四国地方でいいものが見つかれば輸送コストも抑えられるから、距離が遠い神奈川よりは、まず距離が近い九州・四国に目が向くんだ。海外の商談会の難しさを感じたね。

 

最近新しくニューサマーを作り始めた人はいないから、急に生産量が増えることも減ることもないと思うけれど、味は年年おいしくなっているから、たくさんの人に食べてほしいね。」

これから日焼けをする機会も増えますので、ビタミンCとビタミンPはバランスよく摂取したいですね。