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キウイ農家への道 -はじめてのキウイ収穫-


連日暖かい日が続く小田原、今年はキウイフルーツもみかんも異変が起こっています。

キウイフルーツは収穫時期を待たずに落ち始めており、みかんは寒暖差がない為、色づきが遅くなっています。

11月中旬、久野地域の遠藤国雄さんのところでは、今年4月から研修をしている河口奈央さんがキウイの選果作業をしていました。

キウイの選果は、大きさ別にコンテナに分けるのと同時に、さらに製品にならないもの、扁平のもの、やわらかいものに分けます。

 

前回インタビューをしてから約半年。この日は先輩達と一緒に慣れた手つきでてきぱきと選果をしていた一方、「インタビュー受けるの?」「どんなこと話すのか近くで聞いてようかな~」とからかわれ、なんだかとても和やかな雰囲気です。

 

国雄さんのキウイ畑でも今年は大量のキウイが落ちてしまい、かれこれ30年以上キウイ栽培をしてきた中でも収穫前にこんなに落ちているのは初めてのことだと言います。

始まったキウイ生産者としての半年

研修をはじめた頃は週3回遠藤さんのところで受け入れてもらっていましたが、今はキウイの最も忙しい時期なので、毎日8:00から17:00までキウイの収穫か選果をしています。

今日は前日に雨が降ったので、キウイの表面が乾くのを待つために午前中は選果、午後は収穫にも行けそうです!

キウイの作業では、5月に受粉をしました。花に花粉を1つ1つかけていくのですが、これで実にならず、収量が減ったらどうしよう!と心配になりましたね。

また、夏には摘果もしました。摘果も人それぞれ、ある程度残す人もいればきっちり1枝に何個と摘果をする人もいたりしますが、やはり収量(=農家の収入)に影響するので、あまり思い切ったことはできないです。夏季剪定もしましたが、少しだけだったので理解するまでまだ時間がかかりそうですね…(笑)

そして収穫!ずっと「実にならなかったらどうしよう」と心配だったので、結果が出て安心しました。

今年は早くからキウイが落ちてしまっています。落ちたキウイはやわらかくなって甘みもあるので、収穫作業中に拾って食べたりもしちゃいます。

 

キウイフルーツって虫がかじったりしないし、サルも食べないし、人間が食べればおいしいし、農家としては長く保管できるので作り手にとっては最高の果物だと思います。

独り立ちに必要な準備も着々と

あれから農業に必要な道具も少し買いました。山梨に研修に行った際に鳥居社長おすすめの農器具やさんに連れて行ってもらって、剪定ばさみを購入しました。

これから先、独立に向けて軽トラックも購入しなければならないのですが、最近軽トラックも高騰しているので、安く買えるといいなと思っています。

今、マニュアルの免許は持っているのですが、運転は慣れていないので、遠藤さんの軽トラックで練習させてもらっています。最近では畑までなんとか車で行ける様になりましたし、人も乗せることができました。(笑)荷物が傷まないようにもっと練習しないといけませんね…。

あと運搬用のクローラーは大きな買い物になりますが、購入を考えています。

キウイ用の冷蔵庫はしばらく使わないとメンテナンスに費用がかかりますし、借りることにしました。

 

研修がはじまってからは、お弁当屋さんと出前配達と2つかけもちをしています。体力があるのでつらくはないですね。本当に友達には「根性がある」とは言われます。

たまにキウイの作業がない時期は鳥居社長のところでアルバイトもさせてもらっています。これから先独立した時にキウイフルーツだけで食べていくには厳しいので、何か他の作物の栽培もと考えているのですが、すもも栽培はおすすめされて魅力的だなと感じています。

それと、遠藤さんのところでは菜花栽培も盛んです。奥さんの栄子さんにずっと摘み取りができるしおすすめと言われました。

それと、今まで菜花って子どもの頃に少し食べて、苦く感じて食べてこなかったのですが、調理して食べたらそれがおいしかったので、やってみようかなと思いました。

最近では業務スーパーで冷凍の菜花を見かけて、そんなに需要がある野菜だったのかと驚きました。

でも、冷凍ほうれん草も人気が高いと考えた時に、今後の需要としては十分に可能性がある野菜だと思い、惹かれています。

逆にこれはやめようと思ったのは玉ねぎ栽培ですね。遠藤さんのところでもかなりの量を栽培しているのですが、収穫の作業が本当にきつくて…正直なところ、今までしたどの作業よりもきつかったかもしれません。

 

畑は研修がはじまってからすぐ探し出しているのですが、ここがいいなと思っていると別の人にすぐに借りられてしまうので、まだ自分の畑の目処はたっていません。

 

もともと耕作をしていた所を継ぐ形で借りるのと、自分で棚を作る場所と、両方を探しています。

トラブルも発生!

畑に行くと生きものがたくさんいます。前回のインタビューの際に、生きものはあまり得意ではないと話しましたが、夏場の摘果の時期にはキウイの木にセミがたくさんとまっていて、摘果をすると枝が揺れて、思わぬところからセミが飛び立つのが本当に怖くて…慣れません…。

それとマダニに2回かまれました。マダニに噛まれると感染症の危険もあるので病院に行きました。マダニはこのところ小田原周辺でも増えているようですね。

マダニに噛まれるって結構大変なことだと思っていたのですが、農家さんから「大丈夫だよ~」って軽い感じで言われてびっくりしました(笑)

あちこちで蜂に刺されたって話も聞きます。でも農家さんは刺されるのが当たり前のようになっていて、刺されても病院に行ったりしないのですよね。手が腫れてても薬も使わず「いてー」で終わっちゃうのがすごいです…。

それとキウイ畑に蜂の巣ができたことがあって、国雄さんが巣を落とすために普通に木の棒で叩いてて、畑では薬を使えないからなのかな?とはいえ、すごいと思いました。

 

今のところ農作業がきつくてやめようと思ったことはないですね!

ただ、すごく落ち込んだことはあります。

 

草刈中に国雄さんが畑に植えていたみかんの苗を切ってしまったんです。気をつけて作業をしていたのですが…1週間ぐらい落ち込みましたね…。

農家のつながり

そういえば、中華街で手相占いをしたんです。そうしたら占い師さんに農業が向いていると言われたんです。帰ってから遠藤さんご夫婦にその話をしたら「当たっているね」と言ってもらえて…農業に向いているって思ってもらえていたんだなって嬉しい気持ちになりました。

研修をはじめて出会った生産者の皆さんは相変わらずいい人ばかりですね!

遠藤さんのところから独立した若手の先輩の生き方が理想的です。

何か分からないことがあると国雄さんに聞きに来て、それに対して国雄さんが丁寧に教えていたり、忙しくなると手伝いに来たり、研修が終わったから関係が終わりじゃなくて、良い師弟関係でもあり、とても自由で楽しそうだなと、憧れますね!

 

今週末、久野へ私が農家へ転職する際に応援してくれていた職場の人たちがキウイの収穫に来るんです。将来私がキウイ畑を持って、収穫の手が欲しい時に、手伝ってくれると言ってくれています。

その為にアクセスも良く、収穫しやすい畑を遠藤さんが収穫しないでとっておいてくれました。本当にありがたいです。

 

今年はジョイファーム小田原の柑謝祭やキウイの山廻りにも参加させてもらいました。

柑謝祭は当日朝に鳥居社長から電話がかかってきて、生産者としてというより、交流の様子を見させてもらうような形でしたが、ジョイファーム小田原の交流企画に参加したのは初めてだったので勉強になりました。

 

コロナの行動制限も緩和し、自粛や短縮傾向になった研修や視察も活発になるのではないかと思うので、機会があれば積極的に参加したいですね!