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「失敗を経験へ」実験好きの玉ねぎ生産者

日中の気温が一気に上昇してきた4月上旬。

玉ねぎ生産者である清水健太さんの圃場を訪ねました。

 

おひとりで作業されているかと思っていたのですが、他にも訪問の方が。きくと、畑作業をお手伝いされている方だそうで。

 

 この日は暖かくなって勢いよく伸びてきた周囲の草を抜いていく作業。

土と玉ねぎを守るため、除草剤は使いません。手で取り除いていきます。

 

「お仕事やボランティアで来ているとは考えていないんですよ。土とじゃれあっていることにすれば、きつい作業も楽しいと思えるのでね。」

 

そんな陽気な方々が集う圃場の主は、いったいどんな方なのでしょうか。

さっそくお話を伺ってみました。

 

◆新卒の頃から農業を目指されていたのですか?

 

「いえ、はじめはガス会社の営業職だったんです。」

 

ご近所の農家さんには、子供の頃からお世話になっていましたが、

その頃は同年代のお子さんと遊ぶのが楽しかったり、夜の配達に連れて行ってもらってわくわくしたり。自分が畑の作業に関わることなんて想像もしていませんでしたよ。

 

イメージが湧いたのは就職してサラリーマンとして働く中で、

最終的には農業をやりたいと思うようになってからですね。

それでも今すぐではないと10年仕事を続けた矢先、交通事故に遭いまして。

 

それが仕事を大きく離れるきっかけでした。

当たり前だと思っていた毎月の給与も無くなり、正直少々飽きがきていたサラリーマン職のありがたみを痛感しつつ、この際、独立して農作物を営業してみようと思い立ちました。

 

◆かなり勇気のいる転向ですね。どのようなご様子でしたか。

 

 前職の経験を活かそうと体当たりで訪問するも、個人のバイヤーに向けられる視線は当然訝しげなものばかり。農家さんと飲食店オーナーとの間で揉まれながら、イマイチ両者の魅力を伝えきれない自分にやきもきしていました。

 

…そりゃそうか。自分で作ってみなければ。

そうと決まればとにかく行動!

 

とはいえ、収入になるまではしんどい日々でしたよ(苦笑)

初年度の農業売上はサラリーマンの5分の1に満たない金額でした。いくら生活費を切り詰めても、栽培すらままなりません。ボーナスを使い込んでいた会社員時代とは打って変わって、仕事道具一つでも購入をためらう始末です。1000円札がとにかく惜しい。

 

 

兼業農家をしている地元の後輩にもお世話になりました。

 

ガス会社員時代の委託先であった施工会社の社長にもお世話になりました。(ホームセンターで偶然ばったり再会しまして、仕事を紹介してくださいました。一度関係の途切れてしまった方でも、いつまたお世話になるか分からないものですね。)

 

個人営業で訪問した飲食店とは、今もお付き合いして頂けることもあります。

◆苦しい時期が続いたのですね。よく続けていらっしゃる。

 

もちろん大変な時もありますが…それでも、楽しかったんです。

 

見る度に変化のある畑の景色。今している草取りの作業一つとっても、草花の緻密さを面白がらずにはいられません。あ、すぎな。

 

 

ここは自分で考えて即実行できる実験場です。

有り余る好奇心を満たすにはもってこいの環境でした。

 

就農から6年目。

ようやく農業と生活が成り立つようになってきて、畑一本に絞りました。

 

化学合成農薬や化学肥料に完全に頼らない栽培を目指して、本格的に試行錯誤を行っています。例えば、土の保ち方。畑を2年休ませた場合と、1年休ませた場合で連作障害の起き方を確かめました。

 

 

玉ねぎは湿気に弱いので、カビによる病気「べと病」などが発生しやすいんですよね。

 

かつては化学合成農薬を撒いていた(※神奈川県基準の半分以下の量)のですが、かえって症状が広がってしまったように感じて。収穫のほとんどを廃棄したこともありました。

 

やはり畑を2年休ませた方が病気は広がりにくいですが、毎年の収穫量ひいては収入源を安定させるためには圃場の面積を広げなくちゃいけない。土地の購入は経済面と相談しつつ、ただ休ませるだけではなく自然由来の肥料を活用して土の環境を整えることで病気を抑えられないか模索してます。

 

◆自然にも人にも優しい農業を掲げているジョイファーム小田原に共感されたのでしょうか。

 

ジョイファーム小田原には農業研修を受け入れてくださった江川到さんの紹介で出荷しはじめたんですが、今では卸先のパルシステムを通じた他産地との交流会にも参加しています。

 

普段はなかなか関わることのない様々な地域の同業の方と繋がることができてよい経験になっています。北海道で大規模な有機栽培をされている生産者のお話を聞いて、自分が目指す方向が具体的にみえてきました。

農業は経営なので、利益も損失も直で自身に当たってきます。

 

中には億単位で利益を生んでいる経営者の方もいらっしゃって、厳しいお言葉を頂くこともあります。もちろん悔しさはありますが、どうせならバネにかえていきます。

 

今後も失敗を経験に変え、農業を楽しんでいきたいです。